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「DXを推進する文書作成・審査業務セミナー」レポート〜『自治体』×『LAWGUE』で拓く新しい価値とは?〜

青木 まりな
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2022年8月29日(月)・30日(火)に尼崎市役所、第一法規株式会社、FRAIM株式会社の共催で開催された「DXを推進する文書作成・審査業務セミナー」では、自治体のDX推進担当者、契約関連担当者、条例作成関係者の方に向けて、DX化で自治体の文書作成・審査業務がどう変わるのかに関する最新情報の提供を行いました。また、DX化を支援するツールを導入して業務効率化に成功した尼崎市役所様が、実際に取り組んだ内容についてディスカッションをしました。

この記事では、その模様をお伝えします。

「DXを推進する文書作成・審査業務セミナー」は、以下の三部構成で実施しました。

▼登壇者
<第一部・パネルディスカッション>
第一法規株式会社
取締役 販売促進局長 
尾鷲 正人

<第二部・パネルディスカッション>
FRAIM株式会社
パートナー事業 プロジェクト推進部 部長 
石井 智宏

<パネルディスカッション>
尼崎市役所 法制課 課長 
田中 雄造

※パネルディスカッションモデレーター
FRAIM株式会社
営業企画部長 兼 経営企画部長
山田 純希

第一部:「文書」を起点としたDX検討要素と、法的根拠との新たな連携方法(第一法規株式会社)

近年、民間企業を中心に契約書をAIでチェックするサービスをはじめとするリーガルテックサービスが普及してきています。自治体も例外ではなく、リーガルテックサービス導入を通したDX化と業務効率化の検討が始まっています。

また、これらの動きの準備の一環として、自治体側も情報取集を強く望んでいます。

実際、DXを推進するにあたっては以下のポイントに留意する必要があります。

  • まず小さく始める…「全庁で利用する」という観点で考えてしまいがちですが、最初から大きな規模で考えるとなかなか進まなくなるケースが多く見受けられます。
  • 身近な文書から始める…取り組みやすく、業務改善効果の測定もしやすいです。
  • 法的根拠を紐づける…根拠の確認時間が大幅に短縮されます。

自治体業務をDX化するにあたり、以下の3つのアクションに業務効率化のヒントがあると言えます。

1.「検索」している
自治体職員の皆様は、日々の文書作成の際、多くの時間を過去の文書の検索・閲覧に時間を割いているのではないでしょうか。

2.「比較」している
過去の事例との比較や抜け漏れの確認をするために、「前の事例はどうだったかな?」という比較をするケースが多いようです。

3.「校正」している
文書の正確性という観点で、原本と相違がないかチェックしているという声も多く聞きます。

上記3つをDX化することで、業務改善効果の可能性を秘めている自治体内の「文書」の一例をご紹介します。他にもあるかもしれません。

例えば、例規条文等改正にあたり、改正したい文案の新旧対照表が原課から送られてきたとします。審査担当の職員の方は、新旧対照表の旧側の現行条文が正確なのか読み合わせをすることになりますが、A4版10枚の紙で出力した条例の読み合わせには30分以上を費やすことになります。

こういった作業は、実はのちに紹介するツール「LAWGUE」の活用によって、これまでよりも効率的に完了することができます。

さらに、「LAWGUE」を使うと、文書内に法令名が入力された瞬間に下線が引かれ、ワンクリックで「D1-Law.com」という最新現行法規のデータベースにジャンプできるようになります。これにより、文書の正確性はもちろん、多くの自治体様が苦労される法的根拠の確認作業もスムーズに行えます。

こういった効率化の積み重ねで自治体の皆様の業務に大きなインパクト、削減効果をもたらすのは間違いありません。

第二部:『LAWGUE』で実現する自治体文書業務の効率化(FRAIM株式会社)

FRAIM株式会社は、AI技術を使って文書作成、文書業務の仕組み、つまりフレームを変えていくということを企業ビジョンとして、LAWGUEという文書作成全般を効率化できるクラウドサービスの開発提供を行っています。LAWGUEは、一言でいうと文書業務全般を支援するクラウドサービスです。

例えば、参考文例をパッと見つけたり、体裁をシステムが自動で直したり、さらに、過去履歴の蓄積も実現でき、企業様や士業様を中心に広くお使いいただいています。昨今では経済産業省・防衛省といった中央省庁の実証実験に採択され、尼崎市役所様や徳島県庁様など自治体様で導入された実績もあります。

自治体様の文書関連業務における課題としてよく伺うものが、大きく3つあります。

  1. 人手頼みの作業
    例えば、Wordや一太郎での編集は、非効率性が多く残っていて、人海戦術で作業をしている部分は多いでしょう。
  2. 定期的な異動
    ご担当者様がよく異動されるので、組織として知見の蓄積が難しかったり、蓄積したものを利活用したりすることが難しいとお伺いします。
  3. ツールをまたいだ情報参照
    実際に文書業務をするときには、例えば根拠法令などを確認しなければならなかったり、過去の事例がどうだったかを参照する必要がありますが、その際に自治体様特有の問題としてLGWANとインターネットの環境や、メールソフトと文書編集ツールの行き来が発生し、非効率の原因になっています。

こういった課題を解決する一助としてLAWGUEの導入や検討をいただく自治体様が増えています。

セミナーでは、実際の画面を使ってデモンストレーションを行いました

LAWGUEを使えば、条例やその他様々な文書作成を効率的に行うことができます。弊社としてはLAWGUEの提供を通じて、自治体職員の方々を非効率な文書業務から解放したい、そしてその結果、より付加価値の高い業務に注力いただけるようになれば良いと考えています。

編集部注:中央省庁での実証実験や自治体での活用事例は、以下をご参照ください。
経済産業省においてLAWGUEを用いた実証調査事業が開始されました(プレスリリース)
尼崎市役所|先行事例のデータベース化で安定した審査体制の構築と維持へ
徳島県庁|庁内のDXを推進!LAWGUE導入による契約審査のノウハウ蓄積と見える化への取組み

第三部:兵庫県尼崎市役所様による『LAWGUE』を活用した業務効率化(パネルディスカッション)

山田:ここからは、FRAIM株式会社の山田が司会進行を務めます。まず、本日尼崎市役所からご参加いただきました田中様に自己紹介と業務内容のご紹介をお願いいたします。

田中:尼崎市総務局 行政法務部法制課の田中と申します。私が所属する法制課は、私課長以下6人で構成されており、庁内の業務における法律相談や審査請求訴訟、契約書条例規則といった文書審査を行っております。私自身は法制課に配属されまして21年目になります。

山田:尼崎市様では既にLAWGUEをご導入いただいておりますが、そもそも文書作成、審査業務の中で、どういった課題をお持ちでしたか?

田中:尼崎市では、過去に審査した契約書をはじめとする法務関係文書がまだまだ紙文書であったり、1つ1つのWordファイルで管理されていたりで、いざ参照する必要が生じた時に検索することが非常に困難な状況でした。

また、条例などの審査の場面では、定めたい内容を的確に表現する条文を構築するために、本市における他の条例をはじめ、他の自治体様の条例や国の例なども参照する必要があるわけですが、法務の職歴の短い職員では参照すべき例を探し出せず、職歴の長い職員にばかり頼っていました。ですので、人事異動があっても安定した審査体制・法務レベルを維持できるように、法務ナレッジを共有できる仕組みがないだろうかと考えていました。

山田:紙やデータを探すというところは、皆さんご苦労されているポイントではないかと思うのですが、第一法規さんで自治体の方とコミュニケーションを取られる中で、同じような課題感がありますか?

尾鷲:はい、田中課長からお話しがあったように、やはり自治体職員の皆様は異動が頻繁にありますし、法制担当の業務は経験や知見がないと難しいので苦労されています。また、自治体の規模感によっては他の業務と兼務で法政担当をしていることもあり、時間が足りないというご相談もよく受けます。恐らくご視聴いただいている自治体の皆様も同様の課題を抱えているのではないかなと考えております。

石井:自治体のDX化というと、いわゆるスマートシティや住民サービスの改善などのDXが先になりがちです。本当に良いサービスを提供していくには、職員の方の日頃の業務負荷を下げる必要があるにも関わらず、そういった領域のDXは後回しになっていると日々の商談で感じますね。

田中課長がやられている自治体業務の本丸である条例・例規改正はもちろんのこと、議会の答弁、公報作成も文書業務としてはすごく大変で、ここをLAWGUEが改善して、自治体様のサービス全体の改善につなげたいな、と感じています。

山田:実際に業務効率化を目指しましょう、という話になったときに、LAWGUE以外の様々なサービスもご検討されたと思いますが、どんなところにポイントを置いてツールやサービスを探しましたか?

田中:様々な法務関係文書の審査体制を充実させたい、ということにウエイトを置いて、従来の紙文書やデータファイルを容易にデータベース化できたり、審査過程で類似・欠落条項を誰もが簡単に検索できたりするような仕組みはないだろうか、というふうに考えていました。また、最終的な文書の確定部だけではなく、審査過程における検討内容も全員で共有できるものを必要としていました。

山田:条項の有利不利を判定できるAIレビューツールはご検討されましたか?

田中:はい。契約書審査におきましてはAIレビューツールも大変魅力的だなとは考えております。ただ、法制課では契約書の案件が多いわけではないですし、自治体の契約というのは単純に有利不利というよりは、公平性や手続きの要素も大切です。また、本市におけるオリジナル条項などの検討もする必要があるので、必ずしも費用に見合った業務改善、業務効率化はできないと判断しました。

石井:商談の現場でLAWGUEとAIレビューツールと比較いただくことはよくあります。AIレビューツールは、契約書審査の知見を持っていない人にとりあえずどこがポイントかを示してくれたり、一般的にはこの条件の方が良いですよと教えてくれるという点では有用な場面も多くあるでしょう。対してLAWGUEは、「自分たちは過去どうしたのだっけ?」とか、それをみんなで見ながら実際に相手との契約交渉をまとめていく、というところでより高い付加価値を提供したいと考え、現在のようなサービス設計になっています。

山田: 実際にLAWGUEを日々の業務で使ってみて感じる率直なご意見をお聞かせいただけますか?

田中:契約書のみならず条例規則の審査の際、類似条項・不足条項をサジェストしてくれる機能は非常にありがたいです。
また、データベース構築による先例の蓄積、つまり紙媒体のものをデータベース化して検索を容易にしたり、やり取りの過程が見えて法務ナレッジの共有、容易化ができたり、また非常に便利なエディター機能がついていて便利です。おかげで内容面の審査に注力できます。

山田:では逆に、こうしたらLAWGUEはもっと便利になるのでは?というところはどこでしょうか?

田中:法令の構造を比較して条文を構築していくことがありますので、他の自治体様の先行事例や国の法令の未施行部分を含めて、いろいろ比較検討できるようになればいいなと思います。

山田:まさにデータベースの広がりといいますか、様々世の中にあるものをまとめて見ていく中で、総合的にご判断されていくっていうところが重要なポイントになってくるのではないかなというふうに思います。

それでは最後に、ぜひ尼崎市様の取り組みを通して、ご視聴者様にお伝えしたいことがありましたら、田中様の方からお話しいただけますか?

田中:私自身、数年前まではリーガルテックサービスが実際法務業務にどれだけ活用できるのか、非常に懐疑的でした。しかし、各社様のお話を聞き、トライアルさせていただく中で、リーガルテックの得意分野を積極的に活用すれば、十分に業務の効率化ができると感じました。実際に我々は、LAWGUEを使うことで業務フローの改善を実現しています。
ただやはり各自治体様でニーズは様々かなと思います。自分たちのニーズをしっかりと把握したうえで適切なサービスをご選択いただければ、皆様の業務効率化につなげることができるのではないかなと考えております。

山田:ありがとうございました。

【関連記事】
尼崎市様のLAWGUE活用については、以下の記事でもご紹介しております。
先行事例のデータベース化で安定した審査体制の構築と維持へ|LAWGUE導入事例

セミナー参加者の声

セミナーにご参加くださった方からは、以下のご感想をいただきました。

  • 例規文書や契約書の内容等について相談を受ける中で、LAWGUEのようなツールは有用であると感じました。
  • 実際に使用している自治体の声が聴けたのは良かったです。
  • 体験版などがあれば利用してみたいと思いました。
  • デジタルシステムの活用について、非常に参考になりました。
  • 引き続き、文書審査や例規関連業務に関する業務効率化について聞きたい。

『自治体』×『LAWGUE』がもたらす新しい公共サービスの価値

慣例的な仕事の進め方が脈々と受け継がれ、その中には非効率が多く残っていると言われることもある自治体業務ですが、社会全体に押し寄せるDX化の波に乗り、業務効率化に向けて動き始めています。効率化において無限大の可能性を秘める『自治体』×『LAWGUE』の取り組みに、これからもぜひご注目ください。

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