唯一無二の文書作成体験で、業務変革を目指す——LAWGUEはどのように生まれてどこへ向かうのか
様々な文書作成をより速く、より正確にすることで、業務改善を支援する「LAWGUE(ローグ)」。
同プロダクトの提供元であるFRAIM株式会社代表取締役社長 堀口圭は、弁護士としてファーストキャリアをスタートしました。LAWGUEは、彼が弁護士として働く中で目の当たりにした「非効率」から着想を得て生まれ、数々の困難にぶつかりながらも、多くの企業や自治体にご利用いただけるプロダクトへと成長してきました。
LAWGUEの成長過程は、FRAIM創業当初から堀口と一緒に開発に携わってきた取締役常務執行役員CTO 宮坂豪の存在なしには語れません。LAWGUEはどんなプロセスで開発され成長を遂げてきたのか、堀口と宮坂に話を聞きました。
文章をパーツに分解すれば、効率的に使えるのに。LAWGUEは個人的な着想から生まれた
まず、LAWGUEとはどういったプロダクトなのか教えてください。
堀口:LAWGUEは、文書業務全般を支援するプロダクトです。これまで主にWordやGoogleドキュメント、一太郎などで行われていた文書作成業務における様々な非効率を解消し、圧倒的な効率化の実現を目指しています。
例えば、参考にできる過去文書が見つからない、新旧対照表を手作業で一つひとつ作る必要がある、表記ゆれや体裁を目視で確認しなければならないなど、これまでの文書作成において多くの時間がかかり、課題になっていた部分を解決するプロダクトになっています。
なぜLAWGUEは、そういった文書業務の非効率を解消できるのでしょうか?
堀口:文書業務の効率化を実現できる背景には、クラウド型である、AIが搭載されている、文書エディタとデータベースが一体となっている、など、いくつかの要素があります。ただ、その根底には「文章をパーツで分解したい」という発想があります。
LAWGUEの着想は、私が弁護士として働いたときに生まれたものです。当時、様々な書類を扱う中で「文章をバラバラにして部品のように扱えれば、文書の再利用性が高まり、検索性も改善でき、効率化できるだろう」と考えたのでした。
ところが、「文章をパーツで扱う」という発想で作られた文書作成エディタは、世の中のどこを探してもありませんでした。そのため、完成形をイメージすることすら難しい領域の開発にゼロイチで取り組むことになったわけです。
参考にできるサービスは「ない」。誰も正解を知らない中で、手探りで進めた開発
アイデアはありつつ、完成形のイメージがつかなかったとのことですが、プロダクトとして形になるまでにはどのような苦労がありましたか?
堀口:まず、エンジニアを集めることに苦労しました。後から知ったことなのですが、エディタというのは開発の難易度が非常に高いんです。社会人になりたてで人脈などなく、エンジニアの方と知り合えるような環境でもない。あらゆる手段で声をかけ、100名以上の方をお会いし、やりたいことを伝えて協力者を探しました。
その中で出会ったエンジニアの一人が、現在のCTOである宮坂です。
宮坂:ある日、堀口さんからインターネット経由で「東大発ベンチャーです。技術者を集めています」みたいな連絡が来ました。「では、一度お会いましょう」ということになり、大崎のスポーツバーで初めて会いました。その時に、堀口さんが弁護士事務所に入ったばかりの弁護士だけれども、既に起業を視野に入れているということ知りました。
この時は会社設立の少し前のタイミングで、堀口さんが「こういうプロダクトでこういうことを実現したいと思っているから、こういう技術が必要です」という構想を話してくれたのを覚えています。
この出会いをきっかけに、堀口さんがエンジニア100人くらいを集めて開発のやり取りをしていたSlackに、副業エンジニアとして参画しました。
宮坂さんは、エンジニアとしてどのような点に苦労しましたか?
宮坂:類似する他社サービスが全くなかった、つまり参考にするところがなかったのは苦労したところです。
ユーザーも当然そういうものに慣れていなくて、「文書作成はWordが当たり前」という世界。そういった中で「文章をパーツにバラして再利用性を高める」というのは「何をどうすればいいんだろう?」と自分たちで考えて組み立てなければなりませんでした。パーツにタグみたいな情報をつけたらいいのかとか、パーツをどう検索できたらいいのかとか、似ているパーツを検索するにはどうするかとか、編集するにしても検索するにしてもパーツの取り扱い方を様々な観点から検討していて、検討事項としてはかなり負荷が大きかったかなと。
あと、正解がないので、やりたいことを実現したときにユーザーさんに受け入れられるかどうかという点もわかりませんでした。
LAWGUEの前にクローズドベータ版のツールをスピード重視で作ってリリースして、お客様に使ってもらってヒアリングをしながら再整理してLAWGUEが生まれているのですが、その再整理と新たな要件定義検討にも半年ぐらいはかかりましたね。
やっぱり、このプロダクトは世の中に必要。直感が確信に変わったとき
お客様に本当にニーズがあるのかわからない中で開発を進めたとのことですが、その後「ニーズがあるかもしれない」と思ったタイミングはありましたか?
宮坂:ありましたね。
堀口さんと同じタイミングかはわかりませんが、強烈なファンになってくれる方がチラホラ出てきたんです。
「こういうのを待っていました。もうWordには戻れません」。そんなお客様の言葉を聞いたとき、「確実にニーズはある」と実感を得られました。こういうお客様をしっかり増やしていこうと思いましたね。
堀口:確か色々な営業をかけた中でお会いしたうちの一社さんで、講演会に来てくれた方でしたね。「ちゃんと使えるものができた」と実感できたところは本当に大きかったです。
宮坂:実は、LAWGUEの前身として「Commons Pal」というプロダクトがあったのですが、これは全然売れませんでした。文章をパーツ化したものを「ブロック」と呼んでいるのですが、ブロックの概念がユーザーにはかえって難しく見えてしまったようで、全く浸透せず…。
そこで考えたのが機械学習、深層学習分野の技術、いわゆるAI技術の利用でした。文書の数が10個でも、中の文章を条項ごとにブロック化したら、100個200個と増えますよね。それをどうやって整理するかと考えたときに、人間による整理だけでは難しい。そこで、AIが良い感じに探したり、整理したりする要素が必要なんじゃないかと。
それでLAWGUEを開発するにあたっては、AI技術も導入したんです。これは、プロダクトとしての大きな転換点の一つでしたね。
LAWGUEでしかできない唯一無二の体験を生み出し、既成概念を打破していきたい
LAWGUEが今後目指していく未来やビジョンをお聞かせください。
堀口:LAWGUEが実現したいのは、「文書を作成する」という体験を極限まで新しいやり方に作り変えていくことです。
「文書作成といえばWord」というのが今の世界。ですがその世界には、当たり前になりすぎて認知すらされていない課題があると考えています。それが、過去の参考文書を探し続ける時間だったり、誤字脱字や体裁崩れをひたすら目視でチェックして一つひとつ直したりといったもの。「そういうものだ」と諦めている部分ですが、実はテクノロジーで効率化できるわけです。
LAWGUEを使うことで、そんな非効率を解消し、よりスムーズに、よりスピーディーに、そしてよりストレスフリーに文書業務ができるようになる。これがビジョンであり、プロダクトとして目指すところです。
今後もプロダクトを磨き続け、GoogleワークスペースやMicrosoft Officeとは一線を画す唯一無二の文書作成体験ができる次世代クラウドAIエディタとして、ビジネスパーソンに当たり前に使われるようになっていきたいです。作成・編集・検索など、文書作成の全てがLAWGUEの中でできる、さらにチームとしてのコラボレーション・協業も実現できる。その結果、はるかにストレスフリーに仕事ができる。そういう世界を目指しています。
堀口さんのビジョンを一緒に実現し、さらに形にして実現させていくにあたり、宮坂さんの思いをお聞かせいただけますか?
宮坂:GoogleワークスペースやMicrosoft Officeに対して、圧倒的な利便性だとか、パフォーマンスのあるシステムを作っていく必要があると思っています。もちろん機能としてユニークということも大事ですけど、圧倒的に使い勝手の良い、ハイレベルなプロダクトにしていかなければ、実際の業務に浸透していけない。これまでよりもさらに高いレベルの技術が求められていると感じています。
これについては、私はもちろんのこと、開発メンバー全員が堀口さんが言っていることをきちんと理解していまして、実現に向けてどういった技術の採用が必要なのか、どうすれば既存の文書エディタを圧倒的に超越するシステムを作れるのかという命題について、開発側で自発的に研究開発を進めているところです。
そして、堀口さんのビジョンを具体的に実現できるという確信も持っています。引き続きしっかりと価値を発揮していきたいですし、ビジョンを技術で形にすることが開発側の責務であり、腕の見せ所かなと思っています。
最後に、「これはぜひ伝えたい」ということがあればお願いします。
堀口:私がこの会社を作ってビジネスを前進させる中で、いちばん驚き感動しているのは、何もないところから何かを作って、自分のアイディアに対する評価を他人から得て、お客様に使っていただけるようになる、という一連の流れです。始めた当初は、そんなことできると思っていなかったので。
弊社はここからさらに成長を加速していくタイミングなわけですが、今入社する人は普通の会社ではできない経験をたくさん積めると思います。自分のやったことが経済活動の一部として回っていくという感覚は本当に特殊ですし、なにより面白いので、1回はこういう会社で色々なことを考えてみるのも良い経験になると思います。
宮坂:とにかく一人でも多くの方にプロダクトを1回触ってみてほしいですね。めっちゃサクサク動くので。クラウドシステムって、ちょっとモサモサする印象を持たれている方も多いと思うのですが、その辺の常識は良い意味で壊れるのかなと。嘘だと思って、ちょっとで良いから触ってほしいな、と日頃から思っています。