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煩雑化していた契約書作成業務において、システム導入による効率化の可能性を検証。全社でDXに取り組むオリックス銀行の実践事例

青木 まりな
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現代のビジネス環境において、デジタルトランスフォーメーション(DX)は単なる選択肢ではなく、必須のものとなっています。特に大企業では、DX担当部門を新設して取り組む例も多く出てきています。オリックス銀行株式会社(以降、オリックス銀行)もそうした企業の一つ。2018年にデジタル戦略推進部を立ち上げ、様々な領域でDXを推進しています。

その中でも今回取り上げるのは、契約書作成業務のDXです。同社では、複雑な契約が多い法人向け金融事業の成長とともに煩雑化していた業務を対象に、システム導入による効率化の可能性について検証を行ってきました。オリックス銀行におけるDXの取り組みや大切にしていること、契約書作成業務の効率化の現状について、デジタル戦略推進部 デジタル推進チームの平田様、三樹様にお伺いしました。

経営戦略としての「IT/デジタライゼーション」を具現化するDXチームの役割

貴行におけるDXの取り組みについて教えてください。

平田様:オリックス銀行では、2021~2025年度の中長期的な経営戦略において、重点テーマの1つに「IT/デジタライゼーション」を掲げています。業務のデジタル化に留まらず、デジタルを軸としたビジネスモデルへの変革を進め、将来的な競争優位性の確立につなげることを目指し、以下の3つの柱を中心に各種取り組みを進めています。

  1. 価値提供につながるCX(顧客体験)・EX(従業員体験)の向上
  2. クラウド推進・内製開発力の強化
  3. 全社的なIT・デジタル人材の育成・認定

IT/デジタライゼーションの取り組みの一環として、2018年にデジタル戦略推進部が新設され、我々はその中のデジタル推進チームに所属しています。

▲オリックス銀行におけるDXの取り組み

具体的な担当領域としては、社内業務をデジタル化するために適切なプロダクトを要件定義・選定し、社内へ導入、定着させるところまでの全体サポートです。

発足当初はペーパーレス化のような日常業務の効率化を実感しやすい領域から取り組み始め、DXのメリットを感じてもらう、ITリテラシーを高めていく、というところからスタートしました。その後コロナ禍におけるリモートワークなども経験し、従業員のデジタル化に対する意識はさらに向上しています。

地道なコミュニケーションが、DXによる業務改善のタネを見つけるカギ

デジタル推進チームでは社内の様々な業務のDXに取り組んでいるとのことですが、そもそもどのように現場の課題を見つけているのでしょうか?

三樹様:現場の課題をキャッチする明確な方法が確立されているわけではなく、地道にコミュニケーションをとる中で見つけることが多いです。

社内の人から見て私たちが「相談しやすい相手」であることを大切にしていて、過去に携わった案件のメンバーと社内ですれ違ったときに、挨拶がてら「何か困りごとはないですか?」と聞くこともあります。過去に手がけたプロジェクトの中で、直接のやり取りはなくメールのccにおける接点のみだった方からも相談が来ることも増えているので、少しずつですが現場の課題を吸い上げやすい環境を整えられているように感じています。

平田様:コロナ禍をきっかけに従業員全体のDXに対する意識が上がっているので、事業部側から課題の洗い出しとそれに対するソリューションを見つけてきて、我々に相談してくれることもあります。

各事業部の担当者が案件を持って相談にきてくれた際には、必ず「本当に解決したい課題は何か?」を深掘りするようにしています。我々に限らず、DXの取り組みにおいてはシステム導入が目的になってしまうという、いわゆる「手段の目的化」が起こりやすいため、事業部と二人三脚で課題を明確化し、本当に解決すべきことの軸からブレないことが重要です。課題や目的意識を重視する姿勢はデジタル推進チームの文化にもなっており、ことあるごとに本質に立ち返ることを心がけていますし、メンバーにもそうするよう働きかけています。

改善対象とする業務はどのように決めているのでしょうか?

平田様:業務改善によるROIを主として、会社や組織としての重要度などを総合的に加味して判断しています。

あとは、一緒に取り組む現場の課題感の強さですね。課題に合ったシステムを導入できても、現場が活用してくれなければ宝の持ち腐れになってしまいます。先にお話しした通り、システム導入をゴールにしないためにも、実際にその業務をしている人たちの課題感は重要だと考えています。

現場の課題感が強かった「契約書作成業務のDX」

LAWGUEは事業部様における契約書作成業務の改善にご活用いただいていますが、この領域に取り組もうと考えた背景を教えてください。

▲オリックス銀行は、リテール向けの不動産投資ローンを中心に様々な金融ソリューションを展開している

平田様:ビジネスを拡大してきている法人向けの金融事業において、契約書等のドキュメントのやり取りが増えています。その中で「定型化が難しく個別要素が多い契約書のドラフティング業務」「体裁修正作業」といった、文書業務に関する現場の負荷が高まっていました。

さらに、各案件スキームの独自性が高く、契約書確定までの間に社内の担当者間、社外弁護士や契約締結先とのやり取りが相当数発生するため、契約書のレビュー過程の記録やバージョン管理が煩雑化していました。

これらの背景のもと、我々が様々な解決策をリサーチする中で「LAWGUEが課題解決にフィットするのではないか?」と考え事業部にトライアル利用を提案し、実施に至りました。事業部としての意欲も高く、業務改善効果を検証する良い機会でしたので、三樹が推進担当となって導入を進めました。

三樹様:具体的に解決したかった現場の課題としては、以下の3つがありました。

  • 経験値の高い特定の担当者への業務ナレッジの属人化
  • 条項修正、体裁補正などの手作業による担当者の高負荷状態
  • 過去の契約書データの検索性の悪さ

「これらを解決できるのか?」という観点でトライアルを実施し、本格導入へと至りました。

ナレッジの蓄積、条項修正作業など課題意識をお持ちだった点に関して、LAWGUEの導入によってどのように改善されましたか?

三樹様:これまでの業務をいきなりガラッと変えるのは現場の負荷も大きいため、現状は業務に影響が出ない範囲で徐々にLAWGUEの活用を進めており、まだまだ道半ばというのが正直なところです。しかしながら現場の話では、LAWGUEを少し触っただけでも、過去案件のデータベース化、ナレッジの蓄積などに価値を感じているそうです。これから活用が進んでいくほど、業務改善効果を期待できると思っています。

活用支援も手厚く、実際にLAWGUEを使うメンバー向けの操作説明会ではその場でPCを触りながら使い方を教えていただき、業務フローのどの部分でどのようにLAWGUEを使うといいのかなどもわかりやすくご提案いただけました。

LAWGUEを今後どのように活用していきたいか、希望や展望はありますか?

三樹様:契約書以外の文書における利用の余地も検証したいと考えています。LAWGUEを活用し、さらなる文書関連業務の効率化を実現したいです。今は契約書に限定して使用していますが、その他にもサービスの規約・約款、社内規程や各部署のマニュアル・議事録、経営企画部の開示文書・提出資料等、様々な文書で活用できそうだと感じています。システムに任せられるところはどんどん任せて、生産性を高めていきたいです。

業務を俯瞰し、課題の本質をつかむ。DX専任チームの存在意義

実際にシステムを使うのではなく、現場での活用を支援する立場として関わるのは難しさもあるかと思います。システムを運用に乗せるためにどのように関わっているのでしょうか?

平田様:業務理解とコミュニケーションにおいて「相手と同じ目線で物事を考える」ということが一番重要だと思います。あとは、トライアルの時点でなるべく我々も実際にシステムを触ってみて、具体的にどのようなことができるのか話し合えるベースをつくった上で、現場にソリューションとして紹介することが多いです。

三樹様:私も実際にユーザー目線での支援を心がけています。事業部側のITリテラシーやプロダクト検証経験は様々ですので、相手に合わせた伴走や並走、ときには先導も必要です。状況を見極めながら、私自身の役割も臨機応変に変化させています。

DXを推進するにあたってデジタル推進チームとして大切にしていることを教えてください。

平田様:ビジネスサイドとITサイドの中間で、翻訳者のように両者の意思疎通を助けられるのが我々のチームの存在意義だと思っています。ITやシステムのこともしっかりと理解し、さらに理想としては「業務部門よりも業務を知っている」状態を目指していきたい。そうすることで、より本質的なDXを手がけていけると考えています。

当たり前のことですが、現場の人達は自部門の業務に意識を集中しています。特に当社は、機能ごとに部門が縦割りになっており、例えば「ローン」という業務であれば受付から稟議書を作るまでは営業部門、そこから先はミドル部門、さらにその先はバック部門といった形です。そのため、各部門の担当者は業務の全体感を理解しにくい部分があります。

しかしながら業務は互いに影響を与え合うものですから、「この営業部門の課題を解決したら、ミドル部門にはどう影響するか?」といった点を考えられるかどうかで、意味のあるDXができるか否かが変わってくると思います。

言うは易く行うは難しで、我々も胸を張って「できています」とは言えませんが、より本質的で効果的なDXを目指し、推進していきます。

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