契約書の作成時間を1/10に、規程の新旧対照表作成を1週間から半日へ ― アニメ制作大手トムス・エンタテインメントのLAWGUE活用事例
株式会社トムス・エンタテインメント
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株式会社トムス・エンタテインメント
総務部 総務課長/総務部 総務課
杉山様/川﨑様、石島様
- 業種
- その他
- 導入部署
- 総務・人事部
- 企業規模
- 301~1000名
- 文書類型
- 契約書
- 規程・規則
- その他
株式会社トムス・エンタテインメントは、アニメーション制作、IPを活用したビジネスまで幅広く展開しています。制作にとどまらず、企画営業・ライセンス事業にも注力し、オールインワンの体制を目指しています。
アニメ業界の最前線で活躍する株式会社トムス・エンタテインメント。「それいけ! アンパンマン」や「名探偵コナン」、「ルパン三世」など数々の国民的アニメを世に送り出してきました。華やかな作品の裏では、契約書や規程の管理といった地道な業務が欠かせません。現実には、規程の新旧対照表の作成に約1週間、誤字脱字のチェックやレビュー品質のばらつき、ナレッジ共有の課題など、法務担当者が抱える負担は大きなものでした。そこで同社が選んだのが「LAWGUE」。導入により作業時間が劇的に短縮され、業務効率が大幅に向上しました。本記事では、導入の経緯やその効果、今後の展望について、法務担当の皆さまに詳しく伺います。
- 課題
- 規程業務において、新旧対照表の作成に約1週間を要していた
- 契約書の誤字脱字の削減やレビュー品質の均一化も課題となっていた
- ナレッジの共有が十分に進まず、業務効率に影響を及ぼしていた
- 導入
- 他社製品と比較しながら、点数付けを実施し、総合的に判断
- レビューの精度や営業対応の手厚さを評価し、LAWGUEの導入を決める
- 効果
- 新旧対照表の作成時間が約1週間から半日に短縮
- 英文契約書のレビューも従来の1/10の時間で対応可能に
- 誤字脱字が減少し、レビュー品質の均一化が実現
- ナレッジ共有も進み、業務の属人化が解消
活用のポイント
- オプションの「D1-Law連携」を活用した法令確認および「翻訳オプション」を活用した英文契約書の読解
- プロジェクト単位で規程の清書版・履歴版、契約チェックを管理し、タグを活用した分類を実施
- 今後は契約書のパワーバランスを考慮したドラフティングや、ナレッジAIレビューの発展に期待
法務担当者で回す契約書・規程業務、その大きな負担とは
LAWGUEを導入している部署の主な担当業務やLAWGUEを活用している業務やどのような部署で使われているか教えていただいてもよろしいでしょうか。
川﨑様:LAWGUEを導入しているのは、私たち法務担当です。主に「契約書のチェック」と「規程の管理・整備」の二本柱で活用しています。
契約書業務といっても、取引先企業との契約書や人事関連の契約書など、さまざまな種類があると思いますが、法務担当者ではどこまで対応されているのでしょうか?
川﨑様:法務担当者としては、すべての契約書に関与しています。
石島様:具体的には、人事やシステム関連等の管理系契約書、アニメ製作やライセンス等に関する知的財産関連の契約書についても幅広くチェックしています。知的財産関連の契約書については、アニメやそれに付随するコンテンツといった事業の色合いが強いため、知財管理部がメインでチェックを行っています。 その上で、最終的なチェックとして、法務担当者で確認を行い、法的リスクや表現に齟齬がないか等を精査しています。
法務担当のメンバー数やチーム構成について教えてください。
杉山様:法務担当者は総務部門の1チームであり、業務として契約書の作成・審査、法改正やコンプライアンス対応、社内規程の整備等を担当しています。
契約書や規程、その他の文書作成業務において、LAWGUEを導入する前はどのような課題を抱えていましたか?
石島様: 主な課題は4つありました。まずは新旧対照表の作成に時間がかかることです。2023年から全規程の見直しを進めていますが、それ以外にも毎期10本ほどの改定作業があり、1つの規程が分量の多いものであれば作成に1週間ほどかかることもありました。これを短縮化したいと考えていました。
2つ目は、契約書や規程を作成する際、「または」や「及び」などの表現表記の統一が難しく、人力ではどうしてもケアレスミスが発生してしまう点に課題を感じていました。
3つ目はレビューの品質向上と均一化ですね。私と川﨑ではチェックする視点が違っていたり、法務経験の長さも違ったりするので、どうしてもレビューの仕方やレベルに差が生じていました。そこを統一したいという思いがありました。
4つ目最後はナレッジ・ノウハウの共有と活用です。契約書チェックが完了した契約書を共有フォルダに一元的に保存していなかったため、契約書の修正経緯などを個別に使用システムやメールなどでデータを遡って確認する必要がありました。法務担当者間でナレッジを蓄積し、活用しやすい環境を整えたいと考えていました。
規程も契約書も効率化!3社比較で見えたLAWGUEの汎用性の高さ
お二人の法務経験について、それぞれどれくらいになりますか?
川﨑様:私は法務経験が10年以上になります。
石島様:今の会社に入ってからは2年ちょっとです。前職でも契約書業務を担当していましたが、主に著作権契約のみで、現在のような法務全般とは異なっていました。そのため、実質的な法務経験は2年ほどになります。
LAWGUEを知ったきっかけについて教えていただけますか?
石島様:私たちが所属するコーポレート本部ではDX推進を強化しようという方針が掲げられていて、その中で、文書作成業務の効率化を目指し、特に新旧対照表の作成をもっと楽にできないかと考えていました。
AIを活用した文書作成・レビューのシステムについて、他社の有名なAIレビューシステムを調べていたのですが、そこからまとめサイトなどを見ていく中でLAWGUEを見つけました。ホームページを見た際に、シンプルで使いやすそうという印象を持ち、好感を抱いたのが最初のきっかけですね。
杉山様:実は、過去にも社内でクラウドサービスの導入について話し合ったことがありました。当時は「まだ現状では必要ない」という結論になりましたが、時代の変化とともに規程改定や契約書業務の負担が増え、現状の体制では回すのが難しくなってきたことも大きな要因でした。実際に残業時間も増えてきていたので、業務負担を軽減するために「今こそ導入すべきでは?」と再検討したという経緯があります。
近年になって業務量が増えてきたということですか?
杉山様:そうですね。特にアニメ産業が注目を浴びるようになってきたことが背景にあります。当社が属するセガサミーグループの中でも、当社が売上を伸ばしていて、社内外からの注目度が高まっていたんです。加えて、国連などの国際機関がアニメーターの労働環境改善について議論を始めるなど、業界全体としてもコンプライアンス対応が求められるようになってきました。そうした影響もあり、ひと昔前とは業務量がだいぶ変わってきているのを感じます。
先程、他社のAIレビュー製品とも比較検討されたとおっしゃっていましたが、その中でLAWGUEの導入の決め手になったポイントを教えてください。
石島様:LAWGUEとAI契約書レビューサービス2社の計3社で比較検討を行いました。3社全てのトライアルを実施し、その中でLAWGUEを選んだ最大の理由は、シンプルなインターフェースと直感的な操作性です。
また、1番課題感を抱えている新旧対照表の作成や翻訳、雛形の充実など10項目にわたる細かな評価を行った結果、レビューのクオリティ向上と業務の効率化、ナレッジやノウハウの蓄積が可能な点で、LAWGUEが他社製品よりも高いスコアを獲得しました。
さらに営業担当の方のフォローが非常に手厚く、安心感があったことも導入の決め手の1つでした。LAWGUEは、文書のアップロードを増やすことで修正案の精度を向上させられるため、「システムを育てていく楽しさ」があると感じました。
川﨑様:私も基本的に石島と同じ考えです。個人的には、「楽をしたい」という思いがありましたが、それだけなら他社でもよかったかもしれません。しかし、LAWGUEの規程管理機能が決め手になりました。
他社では規程管理に対応していないところもありましたし、契約書業務におけるナレッジ共有やレビュー品質を均一化したいという観点からもLAWGUEが適していると思いました。特に、異なるメンバーが文書作成を担当すると、書き方に個性が出てしまい、統一感を欠くことがありますがLAWGUEならチームとして一貫性のある文書作成が可能になると考えました。
また、新入社員が入社した際に、過去の文書や修正履歴を学ぶことで、効率的にスキルを習得できる環境を作りたかったのでLAWGUEはその点で最も適していると考えました。
杉山様:当社では契約の相手が法人だけでなく、原作者や個人クリエイターなど多岐にわたります。そのため、一般的な契約書の雛形では対応できないケースが多くあります。LAWGUEなら、過去の契約書を活用して自社向けにカスタマイズ可能な点が大きな魅力でした。自社独自の契約書をAIが学習し、より適切な修正案を提示してくれるため、契約書作成の精度向上につながると感じました。
LAWGUEのナレッジ共有の面で、どのような利点がありましたか?
川﨑様:契約書のレビュー時に、LAWGUE上でコメントをやり取りすることができるようになり、情報が散逸しないようになりました。
石島様:LAWGUE内で過去の作成した文章を検索できるのが便利です。以前は自分でダウンロードしたファイルを開いて、過去の文書を見比べながらコピペしていましたが、LAWGUEなら必要な条項や文言をすぐに見つけることができています。
雛形や翻訳などのオプション連携により、契約書業務を1/10まで削減
LAWGUE導入以前と比較して、契約書の作成やレビュー業務にどのような変化がありましたか?
川﨑様:1番の変化といえばLAWGUEの契約書雛形(※1)をオプションで購入し、それを活用することで、作業時間が大幅に短縮されたところです。以前はインターネットで調べたり書籍を参考にしたりしながら白紙の状態から作成していたため、多くの時間を要していました。その点、LAWGUEの雛形には条項の根拠や作成意図が解説されており、理解しながらカスタマイズが可能になったため、従来1週間かかっていた作業が1/10の時間で済むようになりました。
石島様:契約書のレビューやドラフト作成の際、過去の契約書から文章を引用する作業がスムーズになりましたね。以前は複数のファイルを同時に開いて探していましたが、LAWGUEの検索機能により、一画面で必要な文言をすぐに見つけられるようになったことが個人的には大きな変化だと感じています。
あと、以前は契約書の翻訳に無料の外部ツールを使用していましたが、セキュリティ面での不安と文字数制限の問題がありました。そこで、翻訳オプション(※2)を購入してシームレスに英文を翻訳したり、そのまま日本語と英語の比較を画面上で簡単に行えるようになった点も大きな利点ですね。
※1:法令出版社(新日本法規)の雛形連携が可能
※2:ロゼッタのAI翻訳 T-4OO連携が可能
LAWGUEの機能の中で、特に役立っているものはありますか?
川﨑様:僕は、第一法規の法令検索機能(※3)を活用しています。以前はインターネット上の情報を参考にしていましたが、正確性に不安がありました。LAWGUEでは信頼性の高い情報を迅速に検索できるため、法令に関する確認作業がスムーズになりました。
石島様:私は翻訳機能と検索機能をよく利用しています。文言検索をすると該当の文書一覧が表示されて、必要な情報を迅速に見つけることができるところが便利だなって感じています。
※3:第一法規が提供している法情報総合データベース「D1-Law.com」と連携が可能
ありがとうございます。続いて導入決定後、社内で決められた運用ルールとか、何かあれば教えていただきたいです。
石島様:基本的には契約書はチェック用とLAWGUE取り込み用、規程は清書版用と修正履歴版用でそれぞれプロジェクト分けて整理しています。特に、規程については当社には80~90前後あり、毎年改定される規程もあるので、バージョンが増えていくんです。そのため、すべてのバージョンを確認できるように、各規程別でファイルを管理しています。あとは、タグも分類しており、規程は「規程・細則・要領」、契約書は「管理系・事業系・子会社」のように分けています。
豊富なカスタマイズで業務の効率アップに期待
最後にLAWGUEの導入効果について定量的・定性的な観点からお聞かせ願えればと思います。
石島様:定量的なデータはまだ明確に測れていない部分もあるのですが、やはり規程の改定作業を行う機会の割合が多く、その中でも新旧対照表の作成が非常に効率化されたと感じています。例えば、5〜6ページにわたる規程の改定を行う場合、これまでは新旧対照表の作成に1週間ほどかかっていました。旧版と新版を比較しながら変更点を手作業で赤字や太字にしていましたが、LAWGUEの差分チェック機能を活用し、作業時間が半日から数時間程度までと従来の1/5程度の作業時間へ短縮できました。
川﨑様:規程の改定に関しては、そもそも新旧対照表の作成作業そのものが不要になりましたね。また、LAWGUE導入前までは個別性・専門性の高い案件の場合、外部の弁護士への作成依頼を行っていましたが、導入後に子会社同士の合併案件で契約書作成を行う必要があった際にLAWGUEオプションの契約書式連携(※1)を利用しました。逐条解説が豊富にあり、これを読むことで内容理解ができ、本案件に関する経営層からの質問にも回答できました。弁護士への依頼費用削減ができたこと、また社内のみで対応・経験できたことで、自身の知見を得ることにもつながりました。
英文契約のレビューもこれまでの1/10程度の時間で完了するようになっています。具体的には、英文契約にも対応している新オプションのナレッジAIレビュー機能を利用しました。ナレッジAIレビューはサジェストされた類似文書群から比較対象を選び、レビューにかけるだけで、差分概要や確認ポイントが日本語にて表示され、修正後の条文は英文で作成されます。このため、翻訳するレビュー対象の文書と比較対象の文書の内容の違いを理解するという工程を大幅にカットすることができました。さらにナレッジAIレビューは他社のAIレビュー機能とは異なり、比較対象の契約書の内容に合わせてレビューをしてくれるため、現実的に修正・交渉したい内容の参考になりました。
杉山様:契約周りやコンプライアンス関連など難易度が高い案件を経営層からオーダーされ、メンバーへの依頼を躊躇していましたが、全面的に任せてしまっても今までとは異なりLAWGUEがサポートしてくれるという安心感がありました。
LAWGUEのサポート体制について、どのような印象をお持ちですか?
石島様:とても手厚いサポートをしていただいています。担当者の皆さん本当に丁寧で、細かい部分までフォローしてくださるので、何を聞いても安心して答えてもらえるという信頼感があります。つい頼ってしまい申し訳ないと思いつつ、大変ありがたく感じています。
杉山様:LAWGUE導入を検討していた際、二人が最初に話していたのはサポートの充実度でした。他社と比較しても、圧倒的に頼りになるサポート体制だという話をしていたのを覚えています。
石島様:システム内のヘルプページも充実していて、検索すれば解決できることが多いのも魅力です。システム運営の体制もしっかりしていると感じます。
現在のサポートに関して、改善してほしい点などはありますか?
石島様:そうですね…LAWGUEをもっと使いこなしたいのですが、何が分かっていないのか自分でも分からず、質問するのをためらってしまうことがあります。ヘルプで解決できるかもと思い、結局そのままになってしまうことも。もう少し活用できるような勉強会があれば嬉しいです。
杉山様:活用方法の発信だけでなく、業界動向や法改正についての情報提供があれば、さらに便利になるのではと思います。
どのような方にLAWGUEがおすすめの製品だと思いますか?
川﨑様:企業によっては法務を1人で担当しているケースもあります。1人で業務をこなしていると、その人が不在になった場合、業務の引き継ぎが難しくなることがあります。LAWGUEを活用することで、ナレッジを蓄積し、誰でもアクセスできるアーカイブを作ることができます。そうすれば、業務の属人化を防ぎ、継続的な法務運用が可能になるのではないかと思います。
石島様:私はシステムにあまり詳しくない方なのですが、それでもLAWGUEを使うことで文書作成や文書管理がかなり楽になりました。規程や契約書に限らず、文書を扱う方には特におすすめです。例えば、役員会の資料なども組織ごとに分けて管理することで、ナレッジの蓄積やバージョン管理がしやすくなるのではないかと感じています。他の文書も含め、様々な業務に活用できると思います。
最後に、今後のLAWGUEへの期待をお聞かせください。
川﨑様:LAWGUEを当社仕様にカスタマイズできるようになればいいなと思っています。例えば契約書の雛形をもっと細分化できるようになると良いですね。当社の実情に即したコメントがAIから提案されると、より実用的なツールになると思います。大量の契約書データをアップロードすれば、AIが傾向を学習し、当社向けのアドバイスを自動で出してくれるようになると嬉しいですね。
杉山様:あと過去に契約上のトラブルや紛争があった場合、その情報をLAWGUE内で管理できると良いですよね。新たな契約書を作成する際に、過去の問題点をカバーできるような指摘が入ると、トラブルの未然防止に役立つと思います。
ライセンス契約などでは、細かな条項の調整が必要ですが、「この項目が抜けている可能性がありますよ」といった指摘が自動で出るようになれば、チェックの精度が上がると思います。
石島様:使っていて気になったのは、同じ文章やタイトルのファイルが重複してアップロードされる点ですね。あとで見返さないと気づかないので、自動で重複を検出してくれる機能があると便利だと思いました。あと、完了した文書やレビュー中の文書を分類するステータス機能があるものの、特定のファイルを探すのが難しかったりするので、そういった細かな部分が改善されると、よりストレスなく使えるようになるのかなと思います。