中国電力株式会社

属人化されがちな法務知財スキルの“ナレッジデータベース化”で
作業品質向上と作業時間短縮へ

INTERVIEWEE

五嶋 高裕様

エネルギア総合研究所 知財企画法務グループ 渉外・法務チーム

貴社の事業概要と業務内容について教えてください

当社は、中国地域全域および首都圏をサービスエリアとして、電気事業(発電・小売)を展開しています。石炭火力発電のパイオニアとして、他の電力会社に先駆けて環境対策関連の技術開発や最先端技術の導入に取り組むなど常に時代の要請に応えてきました。その一方、電源のベストミックスの観点も踏まえ、原子力発電所の稼働に加え再生可能エネルギーの新規開発を進めることで、非化石電源の電源構成比率(発電電力量構成比率)を高めていき、低炭素社会における競争力強化に向けて取り組んでいます。

また、電気事業を中核として、グループの強みを活かせる「戦略的事業領域(総合エネルギー供給事業、情報通信事業、環境調和創生事業、ビジネス・生活支援事業)」を定め、集中的に経営資源を投入することで、トータルソリューション事業を展開しています。

契約相談数が多い中、より品質や効率性を高める時間の創出が課題

契約書締結やそれに関するやり取りは、どのように対応していましたか?

当社知財部では、担当者1人あたり年間数百件(延べ)の契約相談に対応しています。

各契約類型のひな形は用意しているものの、案件に応じて1件1件カスタマイズ(加除修正)をしていますので、契約スキームの検討やドラフティングにはそれなりに時間が掛かっています。

また、カスタマイズの考え方や条文の表現は担当内で共有し、対外的に一定の品質を維持できるようにしていますが、そのための情報共有や上位職によるOJTにも相応の時間や労力を要していました。

 

 

 

知財部では、どのような課題がありましたか?

現状のサービスレベルを落とさずに、業務の品質や効率性を高めていくためのアクションに充てる時間を創り出すことが課題でした。

知財関連の契約は、技術・ビジネスモデルの進展や事業のグローバル化に伴い複雑化・高度化しており、難易度・重要度の高い案件が増える傾向にありますので、こうした動きにキャッチアップしていくための教育や自己啓発は欠かせませんし、実務対応に要する時間も十分確保することが求められます。

一方で働き方改革等を踏まえ社員のワークライフバランスを高めていくためには、時間外労働により対応することは望ましくありません。

 

 

 

リーガルテック製品についてどのような印象をお持ちでしたか?

当社の社風はどちらかと言うと保守的で、それが安定性や堅実性といった良い点に繋がる一方、レガシーな部分を引きずってしまう点に繋がることもあります。リーガルテック(以下「LT」)についても、存在は知っていても現状の業務の進め方で特段支障はなく、むしろ当社の業務スタイルには合わないので不要とすら考えていました。

 

 

 

リーガルテック製品の導入を検討しようとした理由は何でしょうか?

社外の知財関連の専門委員会に参加してLTについて調査研究をする中で、LTには色んなタイプがあることを知り、自社でも活用できるサービスがあるのではないかと考え始めたのが、導入を前向きに検討したきっかけです。

もっとも、その時点ではリリースされたばかりのサービスが多く、機能的には満足できないのではないか、という懸念もありましたが。

 

 

 

属人化されがちな法務知財スキルの“ナレッジデータベース化”

他社のリーガルテック製品ではなく、「LAWGUE」を導入した理由を教えてください。

当社の知財や研究開発に関するポリシーは、一般に弁護士の先生が示す様な(教科書的な)条文例では十分に表せず、それ故にこの部分で契約の相手方と交渉が難航することがあります。そもそも、共同研究契約等は、民法における典型契約のように「この場合はこう規定する」といった感じで明確に文案が定まるものではなく、案件毎に背景事情等を踏まえてのカスタマイズが必要な「一品もの」であることも珍しくありません。

 

そのため、相手方の理解を得て合意形成を図るためには、案件の性質や交渉の状況も踏まえた表現面の微調整が欠かせず、AI等のシステムから機械的に提示された文案をそのまま採用することは困難です。

 

その点、「LAWGUE」もAIによるサジェスト機能も有しているものの、機能の本質は「蓄積した自社契約のナレッジデータベース化」にあると理解しており、当社のポリシーが反映された過去実例を踏まえた条文案検討が効率的に行える、と言う点が最大のポイントです。

 

 

複数の過去事例と比較しながら条文案検討を行う画面イメージ

 

 

また、システムが提示する条文例を簡単な操作でそのまま挿入したり条項単位で入れ替え操作ができる「契約書のプラモデル化」というコンセプトにも共感しています。かつて同じような事ができないかと市販の表計算ソフトを使って上手く行かなかったことがあり、自分がやりたかったことを実現してくれている点でも、気に入っています。

 

こうした機能により、同種の案件であれば過去の条文をそのまま適用できますし、類似する案件では検討の基礎として利用することができますので、ドラフティングに要する時間が短縮できています。

 

 

条文案の検討から、表記振れ確認まで、作業の品質向上と時間の効率化

現在、「LAWGUE」をどのように使っていますか?

まだ導入して1年弱であるため、メンバーそれぞれには自分に合った使い方をするようにアドバイスをしていますが、その一方で、業務プロセスとの融合を念頭に組織としての使用方針を検討しているところです。 ただ、現時点でも稟議に掛ける前には、必ず「LAWGUE」でスクリーニングをして、表記振れや契約書内での条番号の参照誤りのようなケアレスミスなどを潰すようにしており、以前に比べてそうした点で指摘することは減っていると実感しています。

自身でドラフティングする際もまず「LAWGUE」に契約書を読み込ませ斜め読みをしてからチェックに入るようにしていますが、やはり平仄合わせや条文の参照関係の確認等は、対応が随分楽になりました。

 

また、条文案の検討にあたって、検索機能をよく使用しています。 現在使用している文書管理システムでは、アーカイブしたワードファイルの中身の情報までは検索してくれないので、過去事例を参考にしたい時は、案件名から当たりを付けてファイルを開き該当箇所を探し、ハズレだったらまた次のファイルを、と徒労感がありましたが、「LAWGUE」では契約を横断的に検索してくれるので、そうした手間が削減されました。

 

このほか、インターネット上で公開されている研究機関や大学の契約ひな形などを「LAWGUE」に保存しておくことで、データベースとしての機能を強化すると共に、共同研究等で契約交渉を行う際に各所のスタンスや契約ポリシーをすぐに確認できるようにしています。

 

 

「LAWGUE」の役立つ機能を教えてください。

一番分かり易くてよく使うのは、表記振れの確認等プルーフリーディングに関する機能です。

甲乙丙を色分け表示してくれる機能も、2者間契約を3者間に変更する際の修正漏れを見つけやすく、役立っています。

 

表記揺れ検出の画面イメージ

 

ざっとチェックした後は、やはり条文案を検討するための類似条文検索機能が役立ってきます。これはどこまで“質の良い”自社の過去契約を登録できるかにかかっているため、データベースとしての完成度が高まることでより高い効果や利便性を実感できそうです。

そのほか、今後実装される予定の機能には当社が希望しているものも多くあり、使い始めてから「かゆい所に手が届かない」と感じていた部分がアップデートにより解消されていくスピードも速いので、期待値は大きいです。

 

 

導入後、社内でどのような反応がありましたか?

業務上の効果については、やはり実際に契約作成に携わる実務者でしか分かり得ないこともあり、「LTによってどの様な作業がどう改善されたか」と言った具体的な質問は特に有りませんでした。一方で、会社としてICTを活用した業務効率化を推進していることもあり、「LTによる知財法務業務の品質向上・高度化」という取り組みの方向性については、好意的な評価が多く聞かれました。なお、知財分野で交流のある他社からの関心も高く、知財業務におけるLT活用についての意見交換会の開催も予定しています。(※コロナ禍で延期)

役員からは当然ながら費用対効果(人件費削減)についての言及もありましたが、そもそも業務を効率化することで不足する時間を創出することが目的であること、LTは人の代替ではなく支援する存在であること、LTは発展途上であり将来的にはそうした効果も期待するが、現時点はデータベース整えAIを育てている時期であり定量的評価には馴染まない点等を説明し、理解してもらいました。

 

 

契約書以外で、「LAWGUE」をご活用されている文書はありますか?

現在は、私の所属するチームが扱う文書は契約書がメインですが、今後実装が予定されている「元ファイルに別ファイルを「更新版」として追加する機能」が使えるようになれば、特許権のライセンスアウトに先立ち許諾先の財務諸表を時系列で追う事で与信やロイヤルティ料率検討にあたっての参考情報にしたいと考えています。また、特許の出願書類(明細書)の記載にシステム的に対応しているので、中間対応における補正箇所の把握等(出願時からの差分)にも使えると考えています。

 

 

知識やノウハウが属人化に悩まれている企業に適しています

「LAWGUE」はどのような方におすすめの製品ですか?

契約交渉における自社ポリシーが確立している、あるいは契約実績の蓄積がありそれをナレッジ化したいなど、過去の知見を将来に活かしたいという企業や、知識・ノウハウ等の属人化に悩まれている企業に適していると思います。また、特許文献など契約書以外の文書を扱う際にシステムを使い分ける必要なく「LAWGUE」だけで統合的に作業ができるので、他の業務も兼任されるような部署の方にも向いていると思います。